先輩移住者体験談~40代不動産営業マン

プロフィールにも書いたが、沖縄移住にあたってたくさんの不動産会社にお世話をかけた。

決して冷やかしだったわけでないが、そう映ったとしても仕方ない面もあっただろう。

今回紹介する不動産営業マンと知り合った経緯はまさにそう思われたに違いなかったが、でもその彼もそれを楽しんで利用しているふしもあったから、そういう輩も多いのかもしれない。

その物件は本島北部にあった。しかし取り扱っている不動産会社は那覇市の住所である。

内見を希望したいと思ったものの、その当時こちらに足はなく、事前の打合せの結果、那覇空港まで迎えに来てくれ、そのまま北部まで連れて行ってくれることになった。

ありがたくその言葉に甘え、手土産持参で空港で落ち合い、約2時間のドライブとなった。

そこでわかったことが、彼も移住者ということである。東京に分譲マンションを所有しており、住宅ローンも残っていたというが、当時あまりのブラック企業なみの忙しさに嫌気がさし、ちょうど少し先に移住して不動産会社を興していた知り合いが声をかけてくれたこともあって、思い切って移住したという。

東京の自宅は賃貸に出したそうで、自分の代わりに借主さんが住宅ローンを払ってくれています、と笑っておられた。

移住から3年経ち、すっかり沖縄の風土になじんでいるという彼は、移住から1年は、毎週どこかの海に遊びに行ったらしいが、ダイビングはやらないそう。現在は賃貸に住んでいるが、そろそろ戸建てを購入したいと言っていた。

その彼が言うには、沖縄に移住してくる人の多くは3年ももたず本土に戻ってしまうということだ。何かの統計でも読んだが、事実そうらしい。

彼自身はというと、東京でのやたら忙しかった頃に比べると、1日おきに物件を案内して1ヶ月に1件成約があれば十分、というほんとかうそかわからないが、ずいぶんのんびりした仕事ぶりで生活が成り立っていて、現在の暮らしにとても満足しているようだった。

沖縄で新たに不動産会社を立ち上げるということは、そんな簡単なことではないと聞いたが(すでに既存の業者が地主を取り込んでいるので、新規参入はそもそも難しいのだ)、成功したうらやましい例だと思う。

さて到着したお目当ての物件は海の見える高台にあるはず・・が、残念ながら最近建てられた目の前の家に邪魔されて海は見えなかった。だから売りに出されたらしい。

そこで知ったことだが、沖縄は雑草がものすごいスピードで生えるそう。その手入れだけで大変らしい。その家の周りも基本は舗装していたが、ところどころ雑草がのたうち回っていた。

聞けば、売りに出してすでに半年ほどたつが、問合せがあるのは民泊希望者ばかりで、実際に住みたいという問合せは私が初めてだったとか。(民泊は周辺の取り決めで禁止なので、そういう問合せはすべて断っているそう)。

つまり実際に内見に出向いた客は私が最初で、彼にとってはわざわざ遠方から物件の様子を見に来る願ってもない機会だったということだ。

結局その話はなしにしてもらい、また那覇市内まで送ってもらったが、帰りの車内では、移住はよーく考えたほうがいいですよーとくぎを刺されたのだった。